ペイオフ制度という言葉を耳にしたことはありますか?

簡単にいうと、銀行預けたお金の1,000万円までは保護してもらえる制度なのですが、

証券会社に預けたお金はどうなるのか知っていますか?

今回は、銀行に預けたお金と証券会社に預けたお金について

万一金融機関が破綻した場合、私たちのお金はどうなるのか?

分かりやすくお話します。

銀行預金とペイオフ制度

ペイオフという用語には2つの意味があります。以下は、日本銀行のウェブサイトからの引用です。

・金融機関が破綻した場合の破綻処理方式の1つとして、保険金を預金保険機構が直接預金者に支払う方式を指すこと

・金融機関が破綻した際に、預金等の一定額しか預金保険による保護の対象にならないこと(換言すれば、預金者に損失の負担が生じ得ること)

日本銀行 Qペイオフとは何ですか?

ペイオフ解禁以前は、「預金者保護法」で預金先の金融機関の経営が破たんしても預金の全額が保護される決まりになっていました。

現在では、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護の対象となっています。

ただし、預貯金の種類によって保護の有無や対象金額は異なります。

全額保護は、当座預金と利息のつかない普通預金などの決済用預金になります。

預金者1人当たり元本1,000万円までとその利息等が保護の対象になるのは、一般預金などです。具体的には、利息のつく普通預金・定期預金・通知預金・納税準備預金・貯蓄預金・定期積金などです。

なお、保護の対象外となる預金もあります。いくつかあるのですが、私たちに馴染みがあるものとしては外貨預金が挙げられます。

私は20代の頃から株式投資をしているので、そもそも銀行に1000万円の預金をすることは考えられませんが、普通預金口座にそのまま積み上がっている人もいるでしょう。

ちなみに我が夫は、独身時代は普通預金口座に入れっぱなしの人でした。

その後ご相談をいただく中でも、しばしば1,000万円以上のお金を普通預金に入れている人を見かけます。

万が一の時のルールですが意識しておいてくださいね。

1,000万円を超えたら、他の金融機関に振り分ける。

もしくは、国債にしておくのも良いですね。
個人向け国債は、国が元本と利息を保証しています。

または、当座預金を利用しても良いでしょう。

当座預金とは、企業や個人事業主が小切手の支払いを決済するための口座で利息は付きませんが、全額元本保証です。

ただし、ATMや振込支払はできません。

ペイオフが行われても全く払い戻しされるケースもある

万が一ペイオフが行われると1,000万円を超える部分が全く戻ってこない訳ではありません。

破たんした金融機関の財産の状況に応じて支払われることになるため、一部カットされる可能性はあります。裁判所などの判断の元、応分が決められることになるので詳細は起こってからでないとわかりません。

ただし、戻ってくるとしても手続きに手間がかかることから1,000万円を超える場合には、他の金融機関ぶ分散するなどの対策を取っておいたほうが良いと言えます。

証券会社が破綻したらどうなるの?

証券会社に預けている株式や投資信託は証券会社を通じて証券保管振替機構(ほふり)等にて管理されています。ですから証券会社が破たんしたとしても、預けた有価証券には全く影響がないのです。株式などの売買代金を預けている時も信託銀行に信託をすることになっていますので、返還を求めれば返還されます。ただし、FX取引(外国為替証拠金取引)など保護の対象外となるものもあります。

私自身、平成の金融危機と言われた時に破たんした三洋証券にオーストラリア国債を預けていました。その後、一定の時間はかかりましたが、他の証券会社に無事に預け替えることができました。でも実際に破たんを目の前にすると、とても不安な気持ちになるものです。

これから利用する証券会社を選ぶ時には、会社の規模や次に挙げるセーフティネットへの取り組みを行なっているかを確認しておきたいものです。

最後になりますが、証券会社についても銀行のペイオフ同様にセーフティネットがあります。

まずは、日本投資者保護基金の存在です。資産を預けている証券会社が加入をしていれば基金から「一顧客当たり1,000万円を限度としての補償」があります。商品によっては、商品そのものが返還されるのではなく、換金されて返還される場合もあり、その時の時価によっては損失が発生するケースもあるので留意しておきましょう。

また、他にも分別管理制度を設けているため、証券会社自身の資産とは別に分けて管理を行うことになっています。

ただし、以下の通り、補償対象とならない預かり資産もあります。
※信用取引、先物取引などの未決済建玉に係る評価益
※店頭デリバティブ取引に係る証拠金

とは言っても、一般的に多くの人が行なっているのはNISA口座や特定口座での取引でしょうから、過剰に心配することはないでしょう。

銀行同様に証券会社に預けたお金が保護されることが明確になりましたが、合わせて注意しておきたいのが金融機関と関わることで起こる人的リスクについてです。

金融機関の人的リスクにも要注意

大きなお金が口座に入ると、金融機関から営業の電話がかかってくることがあります。

これは私自身が体験したことです。ある時、口座開設以来、一度も電話がかかってくることがなかった銀行から携帯に着信がありました。口座に大きな額のお金が振り込まれていることについてのお知らせでした。自分自身も気づいていなかったのですが、保険金の入金があったのです。

渡したいものがあるので店頭にお越しの際はお声かけください、というのが電話で話した内容でした。さすが、銀行は素早いなと感心しつつ、後日、店頭を訪ねると、通されたことがない応接ブースに案内されたのです。

来店のお礼とノベルティ品をいただき、話はいよいよ本題へ。。入金されたお金をどうするのか?もしもしばらく使う予定がなければ、普通預金に寝かせておくのももったいないので「投資信託」あるいは「外貨建て保険」で運用されてはどうでしょう?とオススメされました。「しばらく使う予定のない」期間をどのくらい見ているのかについて、詳しく説明を求めることはしませんでしたが、このように銀行で勧められるままに一括運用をしてしまう人もいるのだと実感しました。

私の元へ相談に来られる方々の中でも、このように銀行や証券会社などで勧められるままに投資信託を購入したり、外貨建て保険に加入しているケースが散見されます。そして、多くの場合は、使いたい時に元本割れしていて、どうしたら良いのか、と相談されることも多いのです。せめて、申し込む前に相談いただいていたら、、と悔しく思うこともあります。

多くの方は銀行に勧められるのだから、間違いない、と思うのでしょう。ただし、自分の大切なお金、しかも老後資金として減らしたくなくお金であれば、なおさら慎重に考える必要があるのではないでしょうか。一つだけ知っておいてい欲しいことは、銀行の担当者は運用のプロではなくて、金融商品を販売するプロだということです。これは、銀行の担当者が悪いわけではなく、銀行も営利企業ですから、販売して利益を得ることで行員は給与をもらっているのです。そのことを理解していれば安易に大きなお金を即決で預けてしまうことにはならないはずです。

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